スタジオゆりら Diary

ご訪問ありがとうございます!スタジオゆりら管理人が色々長文で語る不定期更新の日記です。

最近の好きな曲語り―『マヨナカヨナカ』

2021年になってから、もうどんだけ経ったよ?!

去年と同じかそれ以上にぼちぼち更新出来たらと思いつつご無沙汰気味のブログでしたが、久しぶりにものすごい熱量をもって語れそうなコンテンツ(曲)と出会いまして。

感想を書き連ねてみたいと思った次第です。

 


[オリジナル曲]マヨナカヨナカ(into the midnight)/弦月藤士郎

細かく綺麗に韻が踏まれ、それがキャッチーなメロディと一体になっており、仕掛けに気づいた時は本当に驚きました。

巧みな言葉選びと電子音楽で紡がれるのは、決して穏やかではない夜の世界。

夜の闇が重く被さり、眠りにつくことすら出来ないほどの苦しみに苛まれている精神世界。「普通じゃなきゃおかしいなら」「世の中じゃ碌(ろく)に生きていけないなら」などと歌っていますから、おそらく作中で描かれている「ぼく」は、大多数の人から浮いてしまった故の生き辛さを感じていたりするのかもしれません。

曲中に時々聞こえる水の音は涙や息苦しい水中を連想させ、ケロケロ加工の施された歌声も、満足に声が出せないほどにつかえた胸の内を表しているように感じました。

暗い物語が続くのですが、終盤に差し掛かると不意に「明けない夜なんてないなら」という歌詞が出てきます。

たとえ今が苦しくてたまらなくても、希望があるのならば信じたい……描かれてるのは祈りとか願いとかいう柔らかな物じゃない、たとえ独りでも強く心を押し広げていこうとする覚悟に近いものです。

それを受けての一番最後「陽(ひ)の中で/目を覚ませますように/おやすみ」という所がもう特別好きで、独りぼっちでいるはずなのに誰かがそっと手を包んでくれる、そんなひとすじの救いのイメージが浮かんでくるようです。

ものすごい歌と出会ってしまった……率直にそう思いました。

 

 

ここで曲の作者さんの話を少しさせてください。

この曲を作られた弦月藤士郎さんは、にじさんじに所属するVTuber(ライバーと呼ばれることの方が多い)で、YouTubeライブ配信も歌や楽器演奏など音楽にまつわる内容が多いです。また同期の長尾景さん・甲斐田晴さんと共に音楽ユニットとしても活動したり、同じにじさんじで活動する人たちへの楽曲・音源提供やMIXを多数手がけられています。

好きなことを日常的な生業とするのは、かなり勇気がいることです。

私は絵が好きですが、締切や時間の制約を気にし始めたらきっと追い詰められて描けなくなってしまうと思い、それが嫌で趣味の範囲に留めることを選びました。

弦月さんに限った話ではないとは思いますが、音楽をはじめ表現を仕事に選ぶということは、締切などある程度の制約を承知のうえで、それでもその中で伝えたいことを貫いて形にしていく。生半可なことではないでしょう。

そんな方が自分の世界を音で描くわけですから、それはもう凄まじいはずです。

バーチャルライバーと紹介されることが多いかもしれない弦月さんですが、個人的には表現者・アーティストだと思っています。

もっと弦月さんのオリジナルが聞きたい、そう思わずにいられません。。。